【日本人の合格率】USCPAの合格率の真実、本当に簡単?

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USCPA(米国公認会計士)は1科目の合格率は50%程度です。
これだけを見ると「合格しやすそう」、「簡単そう」と思うかもしれません。

実際には1年半で4科目に合格する必要があるため、USCPAの合格率は大幅に下がります。
このように見た目上の合格率にだまされないで欲しいと思い、USCPAライセンス取得者の私がUSCPAの合格率を公表されているデータから分析します。

この記事では、あまり表に出てこない日本人のデータを含め、次のことを解説します。

この記事を読むとわかること
  • USCPAの科目ごとの合格率(受験者全体・日本人受験者)
  • USCPA試験の合格率(受験者全体・日本人受験者)
目次

USCPAの合格率の真実:全体で28%、日本人は18%

公表された資料から、以下の通り整理することができます。

  • 科目ごとの合格率は、全体:50%〜60%程度、日本人:30%〜40%程度
  • USCPAの合格率は、全体:28%程度、日本人:18%程度

それでは、何を根拠にこのように言えるのか見ていきましょう。

科目ごとの合格率

全体の受験者

科目ごとの合格率は四半期ごと、年ごとに公表されています。
直近(2018年〜2020年)の推移は次の通りです。

スクロールできます
科目201820192020
AUD50.97%51.01%52.84%
BEC59.35%59.98%65.56%
FAR46.22%46.31%49.98%
REG53.16%56.34%62.29%
出典:AICPA, Wiley CPAexcel
※黄色ハイライト:最も合格率が高い科目、オレンジハイライト:最も合格率が低い科目

科目ごとで傾向があるものの、科目の合格率は50%〜60%程度です。

並べてみると、合格率の高い順に「BEC>REG>AUD>FAR」という傾向がこの3年は維持されています。
個人的にはAUD(監査論)が最も難しく感じましたが、会計のバックグラウンドがあったため、FARは比較的馴染みがあったからかもしれません。
このように個人差はありますが、おおむね合格率の高い順については違和感ないですね。

もちろんこの合格率は、USCPA受験者全員のデータに基づくものであるため、大半はアメリカ人です。
後述するNASBAのまとめた資料によると受験者のうち90%(2016年時点)はアメリカ人です。

USCPAの各科目の内容は次の通りです。

正式名称主な試験範囲
AUDAuditing and Attestation監査論
BECBusiness Environment and Concepts管理会計、コーポレートガバナンス、経済学、IT
FARFinancial Accounting and Reporting財務会計論、政府・非営利組織に係る会計
REGRegulation米国連邦税法、ビジネス法

日本人受験者

日本人受験者のデータを集計した資料がNASBA(USCPA試験委員会のような組織)から発行されています。
2016年を最後に有料化されてしまったようなので、直近のデータを見ることができませんが、2014年〜2016年を分析していきましょう。
元データはリンク先の資料をご参照ください(pdfが開きます):201420152016

科目201420152016
AUD28.6%28.5%29.0%
BEC28.1%33.9%37.2%
FAR38.4%42.6%42.8%
REG36.4%42.7%41.2%
出典:NASBA
※黄色ハイライト:最も合格率が高い科目、オレンジハイライト:最も合格率が低い科目

このデータからわかる通り、日本人の合格率は、受験者全体よりも20%ほど低く30%〜40%程度です。
FARは計算力が重視されるため、日本人も健闘しています。
一方で、高いレベルの英語読解力が求められるAUDや、英作文のあるBECは合格率が落ち込んでいます。

日本人受験者のデータとの比較のため、2014年〜2016年の受験者全体の合格率をまとめました。

科目201420152016
AUD46.4%47.3%45.9%
BEC55.5%56.5%55.4%
FAR47.6%46.8%45.6%
REG49.4%49.4%48.4%
出典:NASBA
※黄色ハイライト:最も合格率が高い科目、オレンジハイライト:最も合格率が低い科目

傾向としては、直近の受験者全体と概ね同じですね。

受験者全体と日本人受験者の比較

2014年〜2016年のデータをグラフで比較してみます。

USCPAの合格率=4科目を期間内に合格した人の割合

USCPA試験の合格率となると、試験の特性から算出するのは困難です。
というのも、科目合格の有効期間は、その科目の受験日から数えて1年6か月なので、最後の科目(4科目め)を合格する前に科目合格の期限切れとなってしまうこともあります。
それが何年も続くとデータに反映することが難しいのは容易に想像ができます。
このような事情もあり正確な数字は算出できませんが、NASBAのデータを元にしているため、それなりに精度の高いと考えています。

受験者全体

この表はNASBAの「Candidate Performance on the Uniform CPA Examination – Jurisdiction edition」に基づいて作成しました。
※ 元データはリンク先の資料です(pdfが開きます):201420152016

ここからUSCPA受験者全体の試験合格率は28%程度ということがわかります。
科目を一度も失効せずに合格する割合は15%程度のようです。

科目を失効することは心理的に辛いので、なるべく経験せずに一気に受かりたいところですが、
英語が母国語のアメリカ人でさえ15%程度です。

2016年のデータなので、古いのでは?と思うかもしれません。
2016年と2020年の科目ごとの合格率を比較すると、確かに2016年から4%〜14%増加しています。
これに伴って、USCPA試験の合格率も増加している可能性はありそうですね。

  • AUD:+7%
  • BEC:+10%
  • FAR:+4%
  • REG:+14%

日本人受験者

日本人受験者の合格率も同様に集計すると、、

  • USCPA試験の合格率は、18%程度
  • 科目を一度も失効せずに1年6か月(18か月)以内に合格する人の割合は7%程度

と、かなり狭き門であることがわかります。

日本の公認会計士試験の最終合格率(短答+論文)が10%程度であることを考えると、日本の公認会計士試験よりは受かりやすいと言えるかもしれません。
しかも、NASBAの資料によると、USCPA試験を受験する日本人の平均年齢は36歳とかなり高齢(アメリカの平均年齢は20代後半)なので、日本人は働きながら受験している人が多いと考えられます。

全体受験者と日本人受験者の比較

2014年〜2016年のデータをグラフで比較してみます。

気になる人もいると思いますので、細かい集計方法の話をしておきます。
NASBAの「Candidate Performance on the Uniform CPA Examination – Jurisdiction edition(201420152016)」内から以下の項目を抽出しています。

  • 全体の受験者:Overall Candidates
  • 4科目合格者:「From 1st Section Pass 4Parts」のCand Total
  • 4科目合格者(18か月以内):「From 1st Section Pass 4Parts」のCandを<6、<12、<18の合計
  • 全体のデータ:「Overall Performance」のページから上記のデータを抜粋
  • 日本のデータ:「Country – Japan」のページから上記のデータを抜粋

まとめ:USCPAはそんなに簡単ではないからこそ、価値がある

これまでデータを基に見てきたとおり、USCPAの合格率は50%からは程遠いということがわかります。

英語が母国語のアメリカ人でさえ合格率28%で、日本人の合格率は18%です。

日本人は受験者の平均年齢が36歳であることから、働きながら受験している人が多いと考えられます。
そのような状況でも18%ということは、勉強時間さえ確保できれば合格の可能性が高まるという見方もできます。

私はなんとか一度も失効せずに4科目に合格しました。勉強開始から1年5か月でした。
これも勉強時間を確保して一気に勉強・受験できたからでした。
少しでも参考になればと思い、体験談を書いています。

勉強時間が確保できない場合には、まずは転職を考えるということも一つの戦略です。
私がオススメする転職エージェントは、MS-Japanです。私自身も登録して、実際に転職時にお世話になりました。
USCPA取得後の話ですが、転職の話はこちらの記事に書いています。

合格率と並んで気になるUSCPAの合格・ライセンス取得までの費用はこの記事にまとめています。是非ご覧ください。

私はUSCPAを合格して転職したことで、大幅に年収UPしました。
USCPAだけのおかげではないと思いますが、USCPAを合格していたことは大きな強みになっていたことは確かです。
現実を知ることが、USCPA試験の攻略への一助になれば幸いです。

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